「無名の新人」は選挙になぜ挑むのか?投票呼びかけで感じた「限界」手伝った女性は最多得票
選挙の投票率を上げ、若者の政治参加を促進しようと活動する民間団体「若い世代に選挙に関心を持ってもらう会」代表の表雅敏さん(70)=京都市左京区=が、京都府南丹市園部町の京都聖カタリナ高で講演した。選挙に立候補したり、他の候補者の選挙活動を手伝ったりした経験を踏まえ「みなさんの投票で社会は変わる」と訴えた。 表さんは大学を卒業後、大手飲食チェーンの運営会社などで20年ほど勤めた。退職後は65歳まで京都市内で飲食店を営んでおり、政治経験は皆無。店を閉めたタイミングで同会を立ち上げ、選挙前に投票を促すチラシを入れたティッシュを街頭で配るなど、独自に活動してきた。 昨年4月、「呼びかけるだけではダメだ」と、京都市議選に無所属で立候補。自転車で選挙区を駆け巡りながら「世の中を動かす力は若い世代にこそある」と、自身への投票よりも選挙を通じた政治参加を呼びかけた。「自分の変わった活動が、選挙への関心につながるのではないか」との思いがあったと振り返った。 結果は落選。だが活動を通じて「社会を変えたい」と同じ思いを抱く人々との新たな出会いがあったという。昨年夏の向日市議選に無所属で立候補した女性もその中の一人。子どもの昼寝や勉強の邪魔にならないよう、選挙カーを使わずに自転車や徒歩で地域を回るなど、新しい選挙活動を実践した。子育て世代や女性からの支持を得て、過去最多得票で初当選した。 選挙活動を手伝った表さんは「選挙戦が進むにつれ、同じ思いを持つ人々がどんどん集まってきた」と手応えを実感。「従来の候補者がやってきた選挙活動が、必ずしも正しいやり方とは限らない」との気付きも語った。 表さんは「選挙に出るか、投票に行くかは皆さん次第」としつつ「世の中の事象や自分たちの生活はほとんど政治につながっている。少しでもいいから、政治に目を向けてみて」と呼びかけた。 講演は1月11日、同高の「卒業前講座」の一環で行われ、3年生69人が聞いた。